簡便な安定化脂質二分子膜プラットフォームの開発とその応用

摘要

半導体加工を用いずに簡単で迅速な独自の手法で加工したテフロン微細穴に形成された安定な脂質二分子膜と，その応用展開としてパッチクランプ法とAFMへの融合についての研究事例をやり始めではあるがいくつか紹介した。バイオ系に適応して新しい発見をするための準備がようやく整ったというのが正直なところである。筆者としてはトポロジーなど可視化にこだわりたいと思っているが，バイオの研究者からはむしろ力を測定して欲しいと言われることもある。今後もSPM研究に携わった経験を生かした応用研究を展開したい。例えば，音叉型やQ-Plusセンサーのような自己検出型プローブを用いれば，蛍光顕微鏡やラマン顕微鏡とも干渉なく容易に融合できる。マルチプローブを用いれば，通常のSPM（高速SPMでない）では捕らえられない熱拡散の激しいバイオ分子でも繍獲あるいは減速し容易に可視化·分光できるであろう。様々な刺激をプローブで局所的にターゲット分子に与えたりフィードバックさせたりして，その応答を多角的に捕らえることもできる。