ZnOヘテロ接合の表面·界面制御と量子伝導

摘要

酸化亜鉛（ZnO）は，II-VI族半導体の中では唯一，表面伝導の研究が集中して行われた系である。Si/SiO_2界面の表面反転層やGaAs/AlGaAs変調ドーピング構造の2次元電子ガス（two-dimensional electron gas,2DEG）が盛hに研究された1970年代から80年代にかけて，論文発表が集中している。 六方晶系ウルツ鉱型構造のZnOでは，分極性の（0001）-Zn面や（0001）-O面が，各々の面における物性に顕著な違いがみられることから，よく研究された。 Egerらは，電解質（KCl水溶液）中でパルス電圧を印加する電界効果の方法で，1X10~（14)cm~(-2)以上という非常に高い密度（最表面原子密度の10％に相当）の電子蓄積層をO面に形成し，量子サブバンド準位について考察を行った。Goldsteinらは，真空中で熟励起したHe~＋イオンを照射することで高密度の電子蓄積層を誘起し，伝導特性の温度依存性を測定した。 同様の結果は，真空努開した表面に水素原子を照射することでも得られている。