大阪ガスが11月から料金値下げ厳しい経営環境下オール電化に対抗

摘要

大阪ガスは，11月1日から家庭用と選択約款を合わせた小口部門全体の料金を現行に比べて平均2.33％引き下げるガス料金改定を実施する。 同社の料金改定は平成15年1月の値下げ以来3年10カ月ぶりのことで，LNG価格上昇の中での料金値下げという同社の真価が問われるガス料金改定となった。 都市ガス業界は現在，一種のパニックに陥っている。 今年夏に発覚したパロマエ業製湯沸かし器事故への対応もそうだが，昨年から続く原油価格高騰に伴うLNG，LPG価格の上昇が著しく経営を圧迫しているからだ。 特にLPGを原料としている地方都市ガスの経営は深刻で，「原料費調整制度」に基づく需要家へのガス料金転嫁も，基準原料価格に対して最近の原料価格が60％以上も値上がりしたことから料金転嫁ストップを余儀なくさせられ，60％以上の原料費値上がり分はガス会社自らが負担せざるを得ない事態となっている。 つまり制度上，もうこれ以上の料金転嫁は認められないということで，割高な料金を押し付けられたままの需要家も大変だが，当該都市ガスも大変だ。こうした中での大阪ガスのガス料金値下げは夢のような話だが，東京ガスが一昨年，東邦ガスが昨年やはり料金値下げに踏み切っており，同社も時期的に値下げに踏み切らざるを得なかったのは事実。 また，オール電化攻勢が尋常の域を越えて激しくなっている折りから，対抗上値下げを余儀なくさせられた面もあり，これまでの料金改定とはいささか様相を異にした社運を賭けた値下げともいえそうだ。