運輸部門の燃料多様化，強く打ち出す「最後の砦」にも迫る脱石油の圧力

摘要

資源エネルギー庁は18日，総合資源エネルギー調査会資源·燃料分科会（分科会長·橘川武郎東京理科大学イノベーション研究科教授）の第13回会合を開き，昨年の石油天然ガス小委員会等の中間報告書発表後，国内外で生じた様々な情勢変化に対応し展開された資源燃料政策の総括と，今後の方向性をまとめた中間報告書の概要を示した。石油（LPガス含む）·天然ガスと石炭，鉱物資源について，内外の最新情勢や政策の方向性，課題について網羅的にまとめたもので，資源·燃料政策の指針ともいうべき内容。このうち石油については，供給安定化対策，緊急時·災審時対応，精製元売の国際競争力強化と事業再編，石油販売業者（SS）の経営基盤強化，過疎地対策，公正で透明な市場形成など，様々書かれた中で今回特に目を引くのは，運輸部門の燃料多様化に踏み込hだ記述が多いこと。乗用車における電気自動車，燃料電池自動車の利用拡大，大型CNG·LNGトラックの貨物輸送への導入，LNG燃料船の検討や次世代バイオ燃料の研究開発，果てはバイオジェット燃料導入への環境整備まで。燃料転換による減少が進む石油需要の中でも，運輸部門は95％以上が石油に依存する業界最後の砦。古くて新しい燃料多様化の議論とはいえ，ここを失っては死活問題だけに，性急な脱石油議論には，木村石連会長が「海外ではガス生産国がガスを使用するなど地産地消の意味合いが強く，全エネルギーを海外に依存する日本とは事情が違う」，「セキュリティを考えるなら中東依存を減らすなど供給源多様化が王道の政策」と反論。河本全石連副会長も会合で，公平性確保のため燃料課税のあり方を見直すべきと主張。精販ともに「石油サプライチェーン死守」でゆるぎないところをみせた。この燃料多様化を巡っては，“国策”と利事を異にする石油業界の立場が今後否応なく鮮明になってくるはずで，嫌石油派や環境派から業界エゴと批判されぬよう理論武装を急ぐ必要がありそうだ。以下，中間報告概要から石油に関する部分のみ抜粋して紹介する。