衰退気味め熱僕給事業規制緩和が現状突破の糸口になるか

摘要

都市ガスの小売り全面自由化とそれに伴う諸課題を検討している総合資源エネルギー調査会のガスシステム改革小委員会では，熟供給事業（地域冷暖房事業）の規制緩和についても検討を行っている。なぜガスシステム改革小委で熱供給の問題がと不審に思われるかもしれないが，それだけ燃料に都市ガスが使われ，熱供給のかなりを支配しているということだ。エネ庁の調べでは，熱供給事業で都市ガスが燃料の約7割を占めている。こう説明し事業の対象地域が大都市や市街区域なら事業は順調だろうと思われるかもしれないが，この10数年熱供給事業は事業者数，供給地点数とも減少傾向を辿っており，事業者数はピークの91社（平成13年度）から26年度は78社へ，供給地点数は154（平成15～17年度）から140へいずれも減少している。このうち事業者の減少は，需要家数の減少や燃料費の高騰で経営悪化となったことが大きく，供給地点数の減少も，熱供給の需要家が電気やガスなど他エネルギーに切り替えられたことが主な原因。また，事業規模の縮小で熱供給事業法の対象外となったケースもある。この結果，熱供給事業者全体の売上高も減少傾向で，平成24年度は16年度比8.8％のマイナスだった。最近では世界一高い東京スカイツリーが脚光を浴びるなど成長産業とみられていた熱供給事業の意外な現状だが，ガスシステム改革小委の検討では電力·都市ガス改革と同様に規制緩和，自由化を推進し，事業者が活発な事業活動ができるよう改革を行っていく方針。また，電力や都市ガスと違って規制緩和に伴う特別に難しい問題はなく，むしろ自由化後，電力や都市ガスとの競争でいかに需要家を確保し経営を好転させていくか，事業者の経営能力が試されることになろう。