揃って大幅増益を計上都市ガス大手4社の25年3月期中間

摘要

東京，大阪，東邦，西部の都市ガス大手4社はこのほど平成25年3月期中間決算（連結）を発表したが，新「原料費調整制度」によるガス料金単価の引き上げなどにより揃って大幅な「増収増益」となった。大手4社に限らず都市ガス各社はこの2年間，中間決算はほとhどが「増収減益」となっていた。これは主原料である輸入LNG価格が高騰し，その結果新「原料費調整制度」により需要家料金に転嫁しても，それ以上に原材料費→売上原価の伸びが大きく追いつかなかったことによるもので，いずれ売上原価の増加分は新「原料費調整制度」で回収されるとみられていた。今回の大手4社の「増収増益」はそうした回収期が巡ってきた結果といってよく，決してガス販売が好調だったわけでもなhでもない。むしろ大阪や西部などガス販売は前年割れだったのだ。こうしてみると，当中間決算も新「原料費調整制度」による動向がすべてだったといっていいように思われるが，新しい展開もみられる。東京や大阪など電力事業への進出で大幅な利益を挙げ，本業の都市ガス事業顔負けといっていい好調さだったのだ。この電力事業への進出は原発問題を契機に既存電力の需給逼迫があったためだが，今後のエネルギー情勢次第では都市ガス大手にとって更に有望な市場となり得る可能性を大いに秘めている分野。電力分野で一部自由化が認められている恩恵の賜物だが，これにより都市ガス各社の経営に余裕ができ大口，小口を問わずガス料金が下がれば需要家にとっては喜ばしいこと。また，自由交渉，自由料金が認められている都市ガス大口分野ではユーザーはそうした交渉を当該都市ガスと積極的に行っていくべきで，自由化のメリットを最大限活用すべきだ。次にみるように4社の当中間期は新「原料費調整制度」の恩恵もあるが，前中間期に比べて飛躍的な利益計上となっているのだ。