8社に円高記録の更新効果が発生原油が上昇必至で3月は値上がり

摘要

11月分の円建て輸入燃料価格が判明した12月27日，電力10社ほ2月検針分の電気料金に適用する燃料費調整単価などを算出，発表した。その燃料価格で算出した平均燃料価格は引き続き10社の料金改定時の基準値を下回ったほか，8社は前8～10月より安くなった。このため，2月の電気料金は10社とも改定時の単価より安くなるほか，8社は1月料金からも下がる。平均燃料価格が前四半期と同じだった北海道と四国の2月料金単価は1月の据え置きとなる。平均燃料価格が横ばいだった2社は，ドル建て価格が続騰した原油が響いたもので，史上最高の円高でもドル建ての値上がりを吸収できなかった。この原油の値上がり傾向はいずれLNGにも反映するはずで，燃調適用後の料金単価の値下がり傾向は今回の2月分で止まることになりそうだ。とはいえ，当分の間は，一部を除いて改定時の単価を下回る状態が続く。平均燃料価格の基準値に設定されている19年7月から20年3月にかけての原油価格が現在より遥かに高いためだ。ちなみに，今回の原油価格は41,065円／klだが，改定時は19年7～9月が53,137円，10～12月が59,131円，20年1～3月が62,735円もしていた。このため，2月の料金も改定時より安くなるわけだが，標準家庭では支払い月額が改定時より78円（北陸）～563円（東京），率にして1.2％～8.3％安くなる。大口工場向けの特別高圧料金単価でみると2.8％（北陸）～17.6％（東京）の値下がりになる。特高は二桁の値下がりが東京を含め4社もあるように，原油バブルの崩壊がきいている。一方，10～12月の通関価格から算出する3月の燃調では，円高効果を打ち消す原油の値上がりが予想されるため，微妙な会社も一部にあるものの，平均燃料価格は10社とも値上がりする可能性がある。