アジア等の輸出製油所の新設動向と国際製品市場への影響調査

摘要

（財）石油産業活性化センター（PEC）は2日，第24国技術開発·調査事業成果発表会を都内で開催した。“石油の無限の可能性，革新技術で高度利用！”をコンセプトに，例年よりスケジュールを前倒しして行われた今回は，3つの会場，7つのセッションで計27テーマの発表が行われたほか，第4会場では55テーマについてポスターセッションが併催され，昼休みを中心に来場者で賑わった。東京工業大学柏木教授の基調講演のあと，各会場に分かれてセッションに入った。第1会場では，セッション1「原油重質化対応関連」，セッション2「水素製造関連」，セッション3「安全基盤整備関連」で計11テーマ，第2会場では，セッション4「バイオマス関連」，セッション5「海外石油業界動向」，セッション6「自動車燃料·民生用燃料関連」で計11テーマ，第3会場ではセッション7「水素インフラ関連」で計5テーマについて，PECや石油会社，学識経験者，シンクタンク等の専門家が報告し，出席者は熱心に聞き入っていた。この中で，本稿ではセッション5「海外石油業界動向」の「アジアを中心とする輸出製油所の新設動向と国際製品市場への影響に関する調査」（報告者：新日鉱テクノリサーチ㈱曽我正美氏）を取り上げる。需要の減退で精製設備の削減が進むわが国だが，アジア大洋州地域では需要の増加継続と製油所の増強が同時進行し，短期的には供給不足だが，近いうちに余剰傾向へと変わる。ただし，その後はガソリンの余剰感が拡大する一方，軽油は船舶用重油から軽油への転換で2020年に向けて不足感が強まるという。このため，わが国の輸出戦略も香港，豪州向け等を中心とする軽油に活路を見出すべきとし，そのためのインフラ面整備の必要性などを指摘した。その報告内容を紹介する。