世界のLNG需要が増大する中売れ過ぎて困らないか都市ガス大口

摘要

昭和44年にわが国に液化天然ガス（LNG）が初めて輸入されてから37年が経過する。 この間都市ガス販売量はひたすら右肩上がりを続け，平成17年度の全国の都市ガス販売は295億8百万m~3（1万1千kcal）と前年度比7.7％の増加だった。 もちろh，この間の都市ガス販売がすべてLNGの力によるものだとはいえない。 都市ガスに関する技術開発が行われ，経営効率化が都市ガス需要を拡大したともいえるからだ。 また，17年度の都市ガス販売のすべてがLNGによるものでもない。 17年度の都市ガス業界におけるLPG消費量は，天然ガス転換を終えていない都市ガス会社もあり，また転換事業者でもLNG増魚用にLPGを使用していることもあって128万8千トンにのぼっているのだ。 しかし，LNGが輸入されて1万1千kcal／m~3への天然ガス転換が行われ，導管の使用効率がそれまでの2～3倍に向上して都市ガス会社が工業用等への進出が容易になったことは明らかだ。 それまでの家庭用中心だった都市ガス販売が，工業用を中心とした大口販売へ大きくハンドルを切る契機ともなった。 そうした結果，平成17年度の都市ガス業界におけるLNG消費量は2,053万8千トンに達し，10年前の平成7年度の1,166万8千トンの1.76倍，20年前の昭和60年度の557万2千トンの3.69倍となっている。 このような急激なLNGの消費をみると，他人事ながら供給面に将来不安は出て来ないのかと心配になってくる。 わが国の天然ガスは新潟や千葉，北海道勇払等でわずかに生産されているだけで消費量全体の約6％を占めるに過ぎず，もし万一LNGの輸入に支障が生じれば手も足も出なくなってしまうからだ。 実際また，世界の天然ガス需給をみると年々逼迫の度を増してきてもいる。