暖房シーズンの需要増加に対応できるか米石油業界

摘要

米国石油協会（API）がこのはど発表した「石油需給概況」によると，9月の米国の石油生産量は3，946千バーレル／日と400万バーレル／日をも割り込む低水準に落ち込hだ。 前年同月比78.0％だ。 超弩級のハリケーン·カトリーナとリタに相次いで襲われ，これまでも伝えてきたとおりメキシコ湾岸一帯の石油施設は甚大な被害を被ったのである。 当然の結果ともいえようが，比較の対象となっている昨年9月も月末近くになって巨大ハリケーン·アイバンに襲われている。 したがって，昨年9月の石油生産き量も5,062千バーレル／日と低水準だった。米国の石油生産量は通常ならば540～550万バーレル／日どころだから，これに比べると今年9月は145～155万バーレル／日も減少しているので為る。この2年間はどの原油需給のタイト化のなかで，米国はじめ先進各国はOPECに100万バーレル／日程度の増産を求め続けてきたのだが，昨年はアイバンで80万バーレル／日減産，今年は更に大幅な150万バーレル／日どころの減産を米国は強いられたのである。 通常ならばこのことだけで原油市況（WTI）はもっと高値に付けていいはずである。 しかし，8月30日にパニック的に時間外取引で70.85ドル／バーレル（NYMEX終億69.81ドル）となった後は，上下変動を繰り返しながらも60～62ドル台での「軟調推移」となっている。 これはなぜなのかという点を展開基軸に，直近の米国石油市場をみておくことにしよう。