膨張続ける中国経済と東アジアエネルギー情勢

摘要

日本貿易振興機構アジア経済研究所は12月16日，2004年の東アジアの経済見通しを発表した。 東アジア全体の経済成長率は中国の高度成長が続く中，2003年を0.8ポイント上回る6.7％の成長が見込まれ，中でも中国は輸出·投資ともに好調で前年並みの8.5％の高成長を持続するという見通しになっている。 　 高度経済成長が続く中国ではエネルギー需要も急増している。 IEAが11月13日に発表したオイルマーケットリポートによると，2004年の中国の石油需要は前年比31万バーレル／日増の570万バーレル／日となり，日本を抜きアメリカに次ぐ世界第2位の石油消費国となると予測している。 　 中国経済の拡大は，東·東南アジア，ひいては世界全体の経済とエネルギー情勢に影響を及ぼしているが，最近では2000年秋の中国·ASEAN首脳会議の際に中国が提示して交渉が始まった中国とASEANとの自由貿易圏構想が波紋を呼hでいる。 日本も遅ればせながら日本·ASEAN首脳会議（12月11日），日韓FTA政府間交渉の開始（12月22日）へと動き出した。将来，東アジア経済共同体の構築ともなると，エネルギー産業の枠組も大きく変わってきそうだが，各国の多様な価値観をまとめていくのは至難の業。 中国の膨張が続く中，エネルギー情勢はどう変わっていくのだろうか。