都市ガス改革の灯を消すな！今秋から都市熱エネルギー部会再開

摘要

エネ庁の結合資源エネルギー調査会都市熱エネルギー部会が，いよいよ今年軟から再開される。 自由化の最大の目玉ともいうべき家庭用までの全面自由化を審議する第4次都市ガス改革論譲が始まるのだ。 しかし，今回の審議に先立って周辺からは良からぬ風評が流れている。 電力の家庭用自由化が頓挫したのだから，都市ガスの全面自由化も不可能だろうというのだ。 実際，電力の自由化拡大策を審議した電気事業分科会は先般，家庭用までの自由化は当面見送る方向を打ち出した。 見送った理由は，これまでの自由化の中で新規参入者があまりに少なく，家庭用まで自由化の幅を拡げても大きな効果は期待できないというのだ。電力の分野で新規参入が芳しくなく一部に撤退があったりしたことはよく知られているが，これは原油価格が高騰し，原子力や水力，天然ガスを原燃料とした既存大手電力に立ち向かえなくなったため。 原油価格高騰が，電力自由化論議を粉砕したことになる。 しかし，都市ガスに関しては事情はかなり異なっている。 原油価格高騰で輸入LNG価格も今年6月平均が4万4,987円／トンと3年前の平成16年6月に比べて1万5,834円，54.3％も上昇しているが，新規参入者の都市ガス事業への進出意欲は旺盛で，平成18年度の大口供給ガス販売量全体に占める割合は11.7％に至っている。 17年度が8.1％だったから1年で3.6ポイントも上昇したことになる。 これは，電力と逢って都市ガスでは原料はすべて同じLNGで競争できるということで，新規参入者が低価格の原子力等と競争しなければならない電力分野とは条件が根本的に異なっている。 同じ公益事業として業界が似ているようで実際には実態は相当異なっているわけで，断じて電力との横並び，あるいはバーター的な考え方で都市ガスの自由化を論じるべきではないと考える。