バイオマスプラスチック産業の展望--愛·地球博での使用事例を交え

摘要

バイオマスを原料とするバイオマスプラスチックへの関心が高まっている。 1980年代に遺伝子組替えや細胞培養により高選択性の医薬品を高収量で製造する革新的な技術（医薬バイオ＝レッドバイオ）が開発され，1990年代になると環境耐性，農薬耐性，収量向上などを目的とした組替え作物の開発（植物バイオ＝グリーンバイオ）が盛hに行われた。 21世紀になり，植物などのバイオマスを原料とする燃料，化学品やプラスチック製造，微生物や酵素を利用するバイオプロセスなど，バイオを工業的に利用する技術開発（ホワイトバイオ＝工業バイオ）が大きな注目を集めている。 その理由は主に4つある。 すなわち，毎年再生可能であり大気中の二酸化炭素を固定することができるバイオマスを原料として使用することから，①化石資源を節約できること，②温暖化ガスを削減できること，また，③偏在している石油資源への依存度が下げられ国家安全保障を向上できること，④工業原料となるバイオマスを生育するという新産業により農村部を活性化できること，である。