触媒作用の創出と原理·機構の解明--原理からの触媒設計へ

摘要

分子レベル或いは単一粒子レベルで不均一系触媒作用を制御し高選択性を創出するための基盤となる触媒作用の原理·機構の解明や触媒の設計に関する研究現状と課題について具体例を含め概述する．固体表面では，その時異な性質により気相や液相では進行しない様々な反応が進行する．また，ナノ粒子では表面とバルクの原子，電子などが直接接触し往来もするため新たな触媒機能が生まれたりもする．これらの反応の原理や反応機構を原子·分子レベル或いは単一粒子レベルで理解し制御することは，環境·エネルギー·資源·医薬·高難度合成など人類が抱える大きな課題に対応する高機能触媒の創出や新触媒反応の開拓などの21世紀の社会を根底で支える基盤技術の開発に直結する重要な社会的意義を持っている．