ここまできた 分析·解析技術：III.材料の分析·解析技術－5.特殊鋼の環境負荷物質分析

摘要

近年、化学物質による地球環境への影響に対する関心が高まり、工業製品のリサイクルの推進や材料に含まれる環境負荷物質を規制する動きが強まっている。 欧州では、2000年9月に制定された欧州廃自動車指令（ELV: End-of-Life Vehicle、以下ELV指令と呼ぶ）で2003年7月以降の販売車は重金属4物質（鉛、水銀、カドミウム、六価クロム）の使用を原則禁止しており、更に電気·電子機器については2003年2月にWEEE指令（Waste Electrical and Electronic Equipment Directive：廃電気電子機器指令）とRoHS指令（Restriction of the use of certain hazardous electronic equipment Directive：電気電子機器に含まれ特定有害物質の使用制限に関する指令）が制定され、RoHS指令で2006年7月以降に電気電子機器に鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニル·エーテル(PBDE)を原則非含有とすることを求めている。 本稿では、特殊鋼等の金属材料の分析対象となる鉛、水銀、カドミウム、六価クロムを中心とした環境負荷物質の分析方法について解説する。