非球面形状の加工と測定評価方法

摘要

最近の身の回りの品物を見ると，大変多くの光学部品が使われている．これは，CDプレーヤー，レンズ付きフイルム，DVD，光通信など数を上げればきりがないほどである．これら光学部品の中には，光学系を小型化するために多くの非球面形状を持つ光学レンズが使用されている．これら非球面レンズは，1980年代にCDピックアップレンズに使用され始めてから現在にいたるまで多くの分野で急速に普及してきている．この前提は，非球面を作成するのに必要な超精密加工機，ダイヤモンド工具，材料，測定機の開発が基になっている．特に，非球面形状の測定と評価は，1980年代前半までは，非常に高価であり解析の自由度がなかった．1984年にテーラーホブソン社（以下TH）が，広範囲,高分解能を持つFormTalysurf（以下FTS）を発表してから，この非球面加工と計測に関して大きな進歩を遂げた．現在では，非球面形状精度を0.1μm以下で評価しなくてはならなくなってきている．このような，高精度の形状評価には，非球面,超精密加工機の特性，材料，工具，測定機の特性，環境などの総合的な知識が必要になってくる．