日本の原子炉出力向上はどうすれば実現できるか：原子炉出力向上に関する技術検討評価特別専門委員会「出力向上の安全性に関する技術検討評価」分科会中間報告書

摘要

米国や欧州などの原子力発電プラントにおいては，すでに約30年間にわたって原子炉出力向上を実施した数多くの事例がある。 ここで述べる原子炉出力向上とは，既存の原子力発電プラントで安全を損なうことなく，原子炉の熱出力を上げて発電出力を数％～20％程度増大することである。 このような原子炉出力向上は，上述の温暖化ガス削減やエネルギーセキュリティーの観点からも，有効な手段であり，欧米と同型の原子力発電プラントを有する日本においても，欧米の実績からも安全に原子炉出力向上は可能であると考えられる。 もし，10基の原子炉で10％の出力向上をすることができれば，新しい原子炉を1基作ることに相当し，国内すべての既設プラントが5％の出力向上を適用すれば約250万kW（100万kW級の約2.5基分）の電力を生み出すことができる。 これは，二酸化炭素の排出量削減の観点からも無視できない量である。