高性能伝熱管の中濃度LiBr水溶液における流下液膜吸収熱伝達に関する実験的研究

摘要

LiBr/水系吸収式冷凍機は，空調用の冷凍機として駆動源としてガス，重油，高圧蒸気の他に太陽熱等の熱エネルギーを使用している．近年の省エネルギーニーズの高まりから，これらの冷凍機も高性能機種の開発が進み，量産化されている．吸収式冷凍機の主要熱交換器（吸収器，蒸発器，再生器及び凝縮器）の中で，吸収器は伝熱面積及び容積が大きく，更に冷凍機全体の効率に大きな影響を及ぼす．そのため，吸収器は二段吸収サイクルならびに溶液循環量制御等を採用し，期間効率の向上を図るとともに，吸収器に使用する伝熱管も高性能管が使用される傾向にある．その伝熱管は，更なる高性能化ならびに使用材料の低減の要望が依然高い．しかしながら，LiBr/水系の吸収熱伝達に関する高性能化については，各種研究が進められているものの，報告事例がまだ少ない．当研究グループでは，流下液膜式吸収器用の高性能伝熱管として提案している独立突起型形状[1]について，蒸気吸収時の熱伝達特性を，高濃度のLiBr水溶液で溶液の液膜流量の多い条件にて評価してきた．しかしながら，中濃度領域ならびに低液膜流用域での熱伝達特性は依然不明であった．本報告では広範囲の液膜流量域ならびに中濃度（60wt%）での熱伝達特性を評価し，高濃度（63wt%）と比較したので，その結果を報告する．