工作機械の運動精度を保証するオンマシン計測技術

摘要

ただし、補正を実装するには、工作機械メーカーが検査段階で、運動誤差を全数検査することが必要不可欠であり、その効率性が現状の一番の課題であろう。いったhボタンを押したら、誤差測定、原因診断、補正マップの作成まで自動的に終わるようなシステムが必要となることは明らかで、本稿で紹介したタッチプローブを用いた方法は、その目的に沿ったものといえるだろう。主軸－テーブル間の相対変位をオンマシン計測し、それをもとに空間誤差の評価を行う新しい方法が最近多く研究報告されている（ボールバー測定、R-testなど）。本稿の冒頭に記したように、ISO規格化する動きも進hでいる。タッチプローブを利用する方法も、主軸－テーブル間の相対変位をオンマシン計測するという意味では、本質的には変わらない。このようなシステムが普及すれば、工作機械メーカーだけでなく、一般のユーザーが使用環境に応じて定期的にキャリブレーションを実施し、常に工作機械の精度を最適に保つ、といった使い方も可能と思われる。そのためには、工作機械の幾何学モデルや、誤差パラメータの意味など、ユーザーも最低限の知識を持つことが求められるだろう。