船舶からのPM排出実態について

摘要

近年、地球規模の環境保全の観点から、NO{sub}x及び粒子状物質(PM)排出量削減がディーゼル機関の緊急の課題となっている．ディーゼル自動車に対する規制は，NO{sub}x、PMともに非常に厳しいものとなってきているが，船舶からの排気ガスに対する規制に関しては，IMO（国際海事機関）において，ようやく2005年5月にNO{sub}x，SO{sub}x等の排出規制が発効したばかりであり，PMについては現在のところ規制の対象となっていない．しかし，2005年7月に開催されたIMOの環境保護委員会(MEPC)において，NO{sub}xに対する規制強化の検討と併せて，初めてPMに関する調査が検討項目に加えられ，これまで計測例も少なく，不明な点も多かった舶用ディーゼル機関からのPMに対する調査·研究も進むものと思われる．ここでは，船舶に搭載されたディーゼル機関からどの程度のPMが排出されているのか，これまでに公表されている実船で計測されたデータおよび陸上の舶用ディーゼル機関試験設備での計測結果について紹介する．なお，舶用ディーゼル機関からのPMについては，第41巻3号の特集「燃焼と排気に関する最新計測技術」にも解説をしており，データは一部同じものを使用している．