局所接触型マイクロ波加熱式燃料噴射装置における噴霧角とザウタ平均粒径に与えるバイオ燃料組成と燃料温度の影響

摘要

本稿では，内燃機関への搭載を検討する上で最も重要な指標となる，生成される噴霧の特徴確認と，燃料温度および燃料組成がそれらの特徴に及ぼす影響を実験的に考察した．現象を簡単にするため，噴射孔数は1とし，室温のエタノールで生成される噴霧のザウタ平均粒径が市販ポート噴射用装置のそれである60μm程度となるように被駆動体の駆動距離を調整した．噴霧画像の一例を図1に示す．この図から，今回試作した噴射装置によって生成される噴霧は，液膜→液糸→液滴という過程を経て，噴霧を形成していると考えることができる．しかしながら，噴射孔直径は一般に用いられているポート用噴射装置と比較して大きいため，その分裂過程には相対的に長い時間（到達距離）を要している．噴霧の特徴は，1）ザウタ平均粒径（Sauter Mean Diameter，SMD），2）噴霧角，3）液滴直径分布，を用いて評価した．このとき，噴射装置の代表値となる定常状態の噴霧を分析するため，一般の燃料噴射装置よりも長い噴射時間を用いた．燃料温度はエタノール沸点（351K）以下とし，ガソリン／エタノール混合燃料を加熱対象とした．