日本型収量コンバインの開発と収穫情報の取得：IT農業の基礎となる収穫情報を現場で簡単に取得

摘要

平成17年の「食料·農業·農村基本計画」の中の基本的な方針の一つとして，農業生産の全体のあり方を環境保全に貢献する営みに転換していくこととしている。 このような取り組みは，農家の長年の経験に基づいて積み上げられた技術を，農家の自主性により推進してきたものである。 しかしながら農家数は確実に減少しており，その結果，受託作業の増加や法人化による効率的な作業推進は当然の流れと考えられる。 実際に作業受請いをする生産組合や農事法人の数は増加しており，平成15年の調査では水田作付面積の16.3％が請負作業であり，今後も増加傾向である。 このような状況下において，従来からの経験的な情報だけでは十分といえない状況が生じており，正確で定量的な情報が必要となっている。同様に，平成17年の農地制度改正に関わる法案でも，担い手への農地の利用集積の促進や農地利用権設定の促進など，効率的なほ場運用を促進する法整備が進む中，規模拡大を図る特定農家や農業生産法人では，ますます知らない土地での農業が進む可能性がある。 こういった背景を受け，日本においては欧米とは異なる意味で精密農業(Precision Farming: PF)の重要性が高まってきている。 精密農業の研究を振り返ってみると，欧米において「小区画管理農法」の考え方が成立し精密農業の研究が進hだ背景には，収量メータ付きコンバインの登場がある。そのため，収穫情報を取得する方法及び技術を確立することは，重要な意味をもつものであり，その収穫情報についても日本型で利用しやすいものを検討していく必要がある。