高分子レオロジーと成形加工CAEの基礎－その中身と周辺問題：(11)マクロスコピック系のCAE－ブロー成形の基礎と応用

摘要

ブロー成形CAEの主な目的は，成形品の肉厚分布を精度良く予測することにある．例えば，中空容器の製造法として普及している押出ブロー成形で製造される成形品の肉厚分布を予測する数値解析技術は，二つに分けられる．一つは，パリソンの押出形状を予測する技術である．もう一つは，パリソン押出形状の情報を用いて，その後の金型内拘束膨張過程を解析し，成形品の肉厚分布を予測する技術である．前者は，押出成形CAEの追求テーマでもあり，せh断と伸長変形が混在する非定常非等温粘弾性流動という非常に複雑な成形現象を取り扱う．現状，この解析技術の実用性が低く，押出ブロー成形の解析では，実験的に測定されたパリソン押出形状を利用することが多い．一方，後者は，押出ブロー成形の他，射出ブロー成形や真空熱成形など，ブロー成形全般に関わる解析技術であり，近年，目覚しい発展を遂げている．本講座では，ブロー成形CAEを開発する際の基幹技術となっているこれらの数値解析技術や周辺技術について解説するとともに，CAEの各種ブロー成形プロセスへの適用例について紹介する．