移動栽培装置を利用したイチゴの高密植栽培に適した栽培べッドの間隔と養水分供給方法の検討

摘要

平面的に縦横2方向に栽培べッドを移動させる移動栽培 装置を利用したイチゴの高密植栽培の確立を目指して，3 つの実験を行った.実験1では養水分供給方法を検討し， 底面給液に補助的に地上給液を組み合わせることによつ て，地上給液と同等の果実収量が得られることを明らかに した.実験2では，栽培ベッドの間隔を検討し，0.50瓜が 適することを明らかにした.実験1および2の結果を反映 して，縦10.8 m x横9.6mの規模で移動栽培装置を試作し， '章姫'，'もういつこ'および'とちおとめ'の3品種を供 試して，2008年9月-2009年5月まで栽培を行い，慣行 高設栽培で栽培した場合と果実収量を比較した結果，'もう いっこ'と'とちおとめ'は，移動栽培と慣行高設栽培で 差がなかった.これらの結果から，平面的に縦横2方向に 栽培べッドを移動させる移動栽培装置を用いたイチゴ高密 植栽培では，栽植株数を慣行高設栽培の約2倍に高めて， 単位面積当たりの果実収量を約2倍とできる可能性が示さ れた.