底生生物群集から見た造成効果を左右する浅場造成地盤高の決定方法

摘要

2006年秋，Science誌に2048年には魚介類が絶滅するという論文が発表された1）。この論文の著者らは対応策として，資源管理のほか，環境の保全，生物多様性の確保を指摘している。三河湾では，我が国の中でも先進的に干潟、浅場造成により，劣化した環境の修復が進められている。干潟、浅場造成により環境修復を図る際には，充足されるべき土木学的条件がいくつかある。その中でも造成地盤高は，水質浄化機能，生物多様性，生物生産機能など，生物学的機能を大きく左右する最も重要な条件のひとつであり，合理的に決める必要がある。三河湾では，夏季成層期に貧酸素水塊が発達し，湾の深場ばかりでなく干潟、浅場に対しても影響を及ぼすため，干潟、浅場を造成する際には，それを回避できるよう設計することも重要である。