有害有毒赤潮の生物学（25）有害渦鞭毛藻コクロディニウムのシスト形成

摘要

赤潮の発生により魚介類を斃死させて，とくに養殖業に甚大な漁業被害を与える無殻渦鞭毛藻コクロディニウム（Cochlodinium polykrikoides，コックロディニウムとも称される）は，大西洋プエルトリコ島沿岸の海水から見出され記載された種である。本種は熱帯から温帯に至る世界中の沿岸域において発生が確認されている。わが国における発生の初記録としては，八代海で1975年に初めて発生した23,000尾の養殖マダイの斃死が本種によるものと推定されている。本種ははじめコクロディニウム’78八代型（Cochlodinium Type＇78 Yatsushiro）と仮称されたが，その後瀬戸内海でも出現し，その際Cochlodinium polykrikoidesと同定された。