高精度第一原理計算に基づいた定量的な材料予測：マテリアルズ·インフォマテイクスの展開

摘要

材料科学において，さまざまなスケールでの構造と特性との関連性を知ることは本質的に重要である．材料設計とは，この関連性についての論理や知識をベースに，最適な構造や化学組成を決めるという作業である．材料の構造のうち，最も基本的なものは原子配列あるいは結晶構造である．無機材料においては，ポーリング以来，構成原子のイオン半径や電気陰性度などの原子のパラメータを用いて結晶構造を整理するのが常套手段であった．しかしこれら原子のパラメータは，すべて電子状態を反映したものであり，精確な電子状態計算を行えば，安定な結晶構造だけでなくその生成エネルギーなどの熱力学諸値を定量的に求めることが可能である．