毛管力による液体燃料輸送とCO_2ガス排出が可能なパッシブ直接メタノール形燃料電池アノード極ウイック用の金属多孔質焼結体の開発

摘要

本研究では，パッシブ型DMFCのアノード極用のウイック材として，毛管力による液体燃料の輸送とCO_2ガス排出を両立する金属多孔質焼結体の検討をおこなった．金属多孔質焼結体の製作にはスぺースホルダー法を採用した．本製造方法は，混合するスペースホルダー（SH）の径や配合率により空孔の径や体積率の設計が可能であり，骨格部には焼結前の金属粉末聞の隙間に由来する細孔を導入できることを特徴とする．平均粒径1000μmのSHを使ってCO_2の排出流路となる連通した大空孔を導入し，骨格部には金属粉未聞の隙間に由来する細孔とともに，平均粒径180μmのSHを使って液体燃料の浸透を促進するための小空孔を導入した構造を検討した．そのために，2種類の径のSHの配合率やSUS316L粉末の粒径を変えて，大空孔，小空孔および細孔の分布の異なる試料を作製し，燃料の浸透性能を確認後，パッシブ型DMFCの単セルを製作して発電性能を評価し，燃料輸送とCO_2排出の両立について評価した．さらに，大気圧プラズマCVD（化学蒸着）処理によりSiO_2を成膜して濡れ性を改善した試料について，その効果の確認をおこなった．