排水処理の技術動向：光触媒を用いた浄化処理装置

摘要

二酸化チタン（チタニア）に紫外光を照射すると，優れた光触媒活性を発現することは広く知られている。その原理を，図1に模式的に示す。 紫外光によって励起されたチタニアは水分子から電子を引き抜き，OHラジカルという活性酸素を発生させる。 OHラジカルは反応性が非常に高く，触媒表面に到達した有機物質を酸化分解し，最終的には無害な二酸化炭素と水にまで変えてしまう。光触媒による浄化は，薬剤を使用せず，環境への負荷が一切ない上に，塩素やオゾンを超える酸化分解力があることから，地球規模の環境問題を解決するキーテクノロジーとなることが期待されている。 今までに光触媒特性を利用した環境汚染物質の分解研究は数多くなされ，空気浄化，抗菌，防曇，防汚といった分野ではすでに商品化もされている。 しかしながら，水浄化分野では高速流水との接触による触媒層の剥離の問題から，十分に浄化特性を発揮できる製品は皆無に等しかった。