山口大学工学部機械工学科 機械エネルギー講座 応用熱工学教育研究分野 （宮本研究室）

摘要

エンジン排気系としての本来の機能を満たし，排気ガスの持つ熱エネルギーを有効な電気エネルギーに変換する熱電発電システムを，現状で可能な技術を用いて開発·設計し，その性能を数値シミュレーションする方法を示した。 電気出力やエネルギー収支に関する実測結果と数値シミュレーションの結果は比較的に良く一致し，両者の妥当性が示ぎれた。 更に，数値シミュレーション法を用いて，圧損による動力損失を考慮した有効電気出力を最大にするガス側熱交換器のフィン配置を決める最適化法を提示した。 16杖のHZ－14モジュールを用いた本熱電発電システムは，冷却水の温度が19°Cのとき，10－15走行モードの平均的なガス条件で約200Wの電気出力を得ることができる。本数値シミュレーション法は，熱交換器の寸法，形，モジュールの配置や総数を変えた場合や，全体の重量の見積もりにも適用できる。 冷却水用ラジエータについての同様な数値シミュレーション法を付加することにより，熱電発電システムの総合的な性能評価や最適化を行うことができ，実用熱電発電システムの開発に有効に利用できると思われる。終わりに，本研究は，NEDOの支援により，地域コンソーシアム研究開発事業「自動車用熱電エネルギー回収システム」として行われたものであることを記して，関係各位に深甚なる感謝の意を表します。