小笠原諸島におけるノヤギとグリーンアノールについて

摘要

小笠原諸島は日本列島の南方約1000kmに位置し，南北約400kmにわたって散在する島々の絵称で，聾島列島，父島列島，母島列島からなる小笠原群島と火山列島および周辺の孤立島からなっている。 小笠原諸島の各島は，大陸と一度も陸続きとなったことがない海洋島である。 小笠原諸島の生物は種の起源が多様であり，独自の進化を遂げた固有種が多く，貴重な存在とされている。 しかし，その固有の生物相も侵略的な外来種によって影響を受け，多くの種が絶滅の危機に瀕している。 現在，小笠原諸島を世界自然遺産として登録するための準備が進められているが，その動きと連携して，残された島の自然を保全し，またあるべき姿に再生していくために，各種の外来種対策が進められている。 小笠原諸島にはすでにさまざまな外来種が侵入しており，それらによる影響は多様であるが，ここでは影響が深刻で，かつ影響の範囲が大きい野生化ヤギ（以下ノヤギという）とグリーンアノールを取り上げ，その被害と対策を紹介する。