大学生の顎関節症被験者に対する緘治療の試み一顎機能に関するアンケート調査と鉞治療の効果に関する臨床試験一

摘要

【目的】若者に顎関節症が多いとされているが、その実体は不明である。そこで、大学生を対象に顎機能に関するアンケ一卜調査を行うとともに、その中で顎機能に障害が見られたものに対して偽鉞（sham缄）を用いた铖治療の臨床試験を試みた。【方法】明治国際医療大学の学生に顎機能に関するアンケ一卜を回答選択式で行い、その中で顎機能に障害をもつ学生16名(21.5+-1.7歳；平均+-S.D.)を対象に緘治療を行つた。患者をコンビュ一夕一により無作為に铖治療群（鉞群）とsham鉞治療群（sham群） の2群に群分けし、それぞれ週1回の間隔で計5回の施術を行った。铖治療の効果判定には、①主観的な苦痛の評価（Visual Analogue Scale ； VAS)、②開口距離（mm)、③咬合力計にて健側および患側の最大咬合力(kN)をそれぞれ用いた。各評価は治療開始前に行うこととし、治療の効果は1週間後の治療効果として評価するものとした。【結果】顎機能に何らかの異常をもつ大学生は全体の50%以上におよび、最も多い障害は関節雑音であった。一方、铖治療の効果に関しては施術前の緘群67.1 +-19.1mm、 sham 群65.6 +-15.2 mmであった痛みが、5回の施術により、铖群9.3+-7.8mm、 sham群40.5+-1 6.7mmと両群とも軽減傾向を示したが、その効果は緘群の方が高かった（p=0.0152， Man n-Whitney)。一方、開口距離と最大咬合力に関しては両群とも大きな変化はみられなかつたが、もともと病的なものではなかった。【考察】顎機能に異常を持つ大学生は意外に多く、早期の治療が必要であると考えられた。一方、顎機能に異常を持つ被験者を対象に铖治療の効果を検討したところ、痛みに関してはsham群に比べて缄群に有意な改善がみられた。このことから、铖治療は若者の顎関節治療に有効であると考えられた。