反応中間体構造から明らかになった電子伝達タンパク質問の酸化還元依存的な親和性調節機構

摘要

本研究では電子伝達反応中間体のX線結晶構造解析を詳細に行うことで，BphA3とBpbA4の間の親和性の調節曙橋を，両者の酸化還元状態依存的な構造変化により説明することができた.最初の反応が構造変化を引き起こし，さらにその構造変化が次の反応を引き起こすというような構造変化と化学反応の連鎖が両者の親和性調節機構のキーポイントであることがわかってきた.今回示したBphA3とBphA4の間の親和性調節機構は，原子レベルの構造に基づき電子伝達タンパク質問の親和性調節を説明する初めてのモデルである.今後，本研究で確立した嫌気条件下での結晶化などの技術を応用することで，類縁タンパク質の電子伝達に関係する中間体構造が解明され，ほかの電子伝達系においても電子伝達タンパク質尚の親和性調節に関する知見が蓄積していくと考えている.