2011年度日本の輸血管理体制および血液製劑使用実態調査報告

摘要

2011年調査は，日赤より輸血用血液製剤が供給された10,428施設(東日本大震災の被災地である東北4県を除く） に対し実施され4,322施設(41.4%)から回答が得られた.輸血管理体制の整備は，300床以上の医療施設では，輸 血責任医師の任命以外は90%以上の整備率であり,ほぼ達成されていたが，小規模医療施設では50?70%の整備 率であり，過去3年間はほとhど変化がなかった.特に輸血責任医師の任命は51.8%と低かった.2011年は病床当 たりの各血液製剤使用量は横ばいもしくは微増程度であった.安全な輸血医療の実施のためにコンピュータ一シス テムの導入率は，大規模医療施設では輸血時の携帯端末の使用が69.17%以外は，80%以上の利用率であつたが，小 規模医療施設ではいずれのステップも20%以下の利用に止まっていた.赤血球輸血を1日10単位以上実施した症 例は，詳細調査回答施設の50,8% (382施設）で存在し，そこで使用された赤血球製剤は全体のほ.95%,血槳製剤 は28.58%を占めていた.国内自給率が2%と低い抗HBs人免疫グロプリンの使用目的は，血液汚染事故後のB 型肝炎発症予防や母子感染予防が多かったが，使用量は肝移植後の肝炎発症予防が多く ,総投与量の60.83%が使用 されていた.