オランザピン服用患者と脂質代謝異常

摘要

非定型抗精神病薬であるオランザピンは，統合失調症の陽性。陰性症状への有効性，錐体外路症状の少 なさ，認知機能への改善効果等の様々な点で高い臨床有効性がある.一方，体重増加，耐糖能異常，脂質代謝異 常等の副作用も多く報告されている.今回，オランザピンを服用している統合失調症の患者において，体重指数(BMI)を従属変数として，レブチン，アディポネクチン，中性脂肪，総コレステロール，HbAkとBMIとの関 連，さらに75 gブドゥ糖負荷試験を実施し耐糖能異常の有無を検索した，その結果，採血結果は正常範囲内であつ たが，BMIとレブチン，中性脂肪とレムナント様リポ蛋白コレステロール（RLP-C)に有意な相関が認められた. また，ポリァクリルァミドゲル電気泳動法による，リポ蛋白分画では，midbandが高値の患者はほとhど存在し なかつた.さらに，75 gブドゥ糖負荷30分後のインスリン値で100パU/mlを超える患者が存在した.本研究では 才ランザピン内服中の患者のBMIに対しレプチン，中性脂肪とRLP-Cに関連を認めたが，境界型あるいは糖尿 病の患者は認めなかった.BMI高値の患者に対しては食事療法，運動療法を推進することは有用と思われた.ま た，ォランザピンの服用により，ィンスリン分泌が100バU/mlを超えた患者が存在したが，どうしてィンスリン 分泌が亢進したかについての詳しい機序は不明である.以上のことより，オランザピンの服用が体重増加，耐糖 能異常や脂質代謝異常に直接関係しているわけではないと思われる.結論として，BMIが高値を示す患者におい ては，食事療法や運動療法を推進することは有用であると思われた.