尋常性乾癬における塩酸エビナステンの効果についての検討-血中ヒスタミンとサブスタンスPによる評価-

摘要

尋常性乾癬は表皮ケラチノサイトの増殖を特徴とする慢性，難治性の炎症性角化症である。 乾癬はかゆみを伴うことが多いが，その原因として病変部での肥満細胞の増加が関与しているのではないかと考えられている。 詳しい機構については，ケラチノサイト由来の神経成長因子（nerve growth factor），サイトカイン，ケモカイン，表皮におけるC線維の増殖と放出される神経ペプチド，T細胞由来のサイトカインなどにより，肥満細胞からヒスタミンが遊離され，かゆみを生じると推測されている。 また掻破により表皮に伸長した神経終末からはかゆみを増幅させる神経ペプチドの1つであるサブスタンスPが遊離され，知覚神経を刺激したり，肥満細胞からヒスタミンを遊離させ，さらにかゆみを増悪させるため，かゆみに対する治療は重要である。