脳卒中慢性期に発症したSIRS/ALIに対しシベレスタットナトリウムが奏効した2例

摘要

近年の高齢化に伴い，高齢者や基礎疾患を有する脳卒中慢性期の患者においては，咳反射の低下などにより誤帳性肺炎を併発することが多い。 ひとたび誤味が起こると，全身的な炎症反応を伴い肺炎が急速に重篤化を来しやすい。 その際，高サイトカイン血症を介した好中球エラスターゼの著明な増加を伴って，肺の組織損傷へと進行し，肺の酸素化能が低下すると考えられている。 我々は，脳梗塞慢性期リハビリ中に誤喋を契機とする重症の肺炎に，選択的好中球エラスターゼ阻害剤であるシベレスタットナトリウム（エラスポール~R）が奏効した2症例を経験したので報告する。