老年期精神障害の随伴症状に対するクアゼパムの効果

摘要

クアゼパムにより不安と焦燥感が改善した77歳女性のうつ病の症例，および耳鳴りとめまいが改善した66歳女性の妄想性障害の症例を報告した。いずれも早朝覚醒，中途覚醒が目立ち病前性格では典型的な神経症的傾向はみられなかった。 高齢者においてクアゼパムはふらつきを起こさず，耳鳴り，めまいなどの身体症状に顕著な効果を示すことが観察された。 高齢者でも安心して服用できることにより症状の改善にも好影響を及ぼすと考え．られた。 今後，高齢者に対する各種睡眠薬の特性が検討される必要があると考えられた。