当院における臨床分離菌の年次調査とMRSAに対するteicoplanin，VanCOmyCin，およびarbekacinの感受性サーベイランス

摘要

当院における1994～2003年までの全臨床材料からの検出菌では，黄色ブドウ球菌，腸内細菌，緑膿菌の検出頻度は高いが，検出菌の順位については10年間にわたり大きな変化はみられなかった。血液培養からの検出状況ではグラム陽性菌群が約半数を占め，なかでもmethicillin－resistant Stqphylococcus aureus（MRSA）は約20％であった。 また，黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合は1995年が最も高く76％であったが，徐々に減少し2001～2003年では59％であった。 2000～2003年の4年間に検出されたMRSAは，teicoplanin（TEIC），Vancomycin（VCM）およびarbekacin（ABK）に対していずれも薬剤感受性率に年次的な変動はみられず，また，2003年のMRSAに対するこれら3薬剤の抗菌力比較（MIC_(90)）ではTEIC；2mug/mL，VCM；2mug/mL，ABK；2mug/mLと良好な成績を示した。 ただ，ABKには16mug/mL以上を示した耐性株が634株中7株（1％）存在していた。