Trail－Making－Testを改良した「ATMT脳年齢推測·痴呆判別ソフト」の臨床的有用性 タッチパネルを用いた精神作業能力テストの開発

摘要

高齢者の精神機能検査法として開発された「ATMT脳年齢推測·痴呆判別ソフト」の臨床的有用性について検討した。 本検査は，タッチパネル上に提示されたターゲットとなる数字を順に押していく視覚探索課題で，ターゲット毎の探索反応時間を記録でき，反応毎にターゲットを再配置させたり，あるいは新規に追加発生させることができる。 そのため，試験紙を用いる従来のtrail－making－testでは検出できなかった課題遂行中のワーキングメモリーや疲労度を測定することが可能となった。 今回，18歳から74歳までの84名の健常者（43．2（+-）17．0歳，男性40名，女性44名）および14名の60歳以上の境界域および軽度痴呆患者を対象として検討した結果，この検査成績が年齢と極めて強い相関（r＝0．83，p＜0．0001）を有していること，そして境界域および軽度痴呆患者においては，ワーキングメモリーが顕著に障害されていることが明らかとなり，同年齢の対照健常者と明らかに判別できることが示された（p＜0．01）。 本検査法は，脳の機能年齢の推測，初期痴呆の判別のみならず，リハビリテーションや薬物の治療効果判定あるいは精神機能のスクリーニングにも適しており，中高年老に対する精神機能検査として極めて有用であることが示された。