肝炎ウイルスによる肝細胞癌罹患とその修飾要因

摘要

われわれは，現在肝炎ウイルス感染から肝発癌へ至る危険因子の解明と佐賀県における肝癌対策の支援および評価という2つの観点から研究を進めている．本稿では，まずわが国における肝炎ウイルス感染の重要性と肝炎ウイルス側の危険因子（C型肝炎ウイルス（HCV）遺伝子型など）に関する疫学的データを呈示する．また，肝炎ウイルス感染による肝発癌のメカニズムと肝炎ウイルス以外の修飾要因を追求する妥当性について考察する．次に，修飾要因としてわれわれが検討を行ってきた環境要因（飲酒など）と宿主要因（薬物代謝酵素の遺伝子多型など）について主な成績を紹介する．最後に，佐賀県における肝疾患対策の現状と今後の課題について述べる．