特発性間質性肺炎（llP）合併肺癌に対する肺癌治療後IIP急性増悪症例の臨床的検討

摘要

抗癌治療後に特発性間票性肺炎（IIP）の急性増悪をきたしたIIP合併肺癌症例の臨床的検討を行った．1991年から2000年の間に当院で診断されたIIP合併肺癌45例を対象とした．男性44例，女性1例，平均年齢69歳，組織型は扁平上皮癌16例，小細胞癌16例，腺癌11例，大細胞癌2例，臨床病期はIB期3例，IIB期1例，IIIA期12例，IIIB期14例,Ⅳ期15例であった．治療は化学療法26例,化学療法＋放射線療法13例，放射線療法4例,手術2例で，このうち7例（156％）が治療後にIIPの急性増悪をきたした．PS不良例，LDH上昇例，WBC上昇例，CRP上昇例，％VC低下例，PaO_2低下例ではそれぞれの正常例に比べて有意にIIPが増悪する率が高く，risk factorと考えられた．これらのrisk factorが2項目以下の症例のIIP急性増悪率は28％であるのに対し，3項目以上で6617％，4項目以上では100％と高く，risk factorが3項目以上の症例では治療によりIIPの急性増悪を来す危険性が高く，肺癌治療を回避するべきだと考えられた．