44歳,男性.左鼠径部に生じた胡桃大の皮下結節が急速に増大した.初診時,左鼠径部に径6 cm 大の皮下腫瘤を認め,CTでは皮下に限局し,周囲との境界が明瞭な囊腫を認めた.全身麻酔下に切除し,術中にリンパ液様の囊胞内容液を認めた.病理組織学的には,複数の囊胞を有する結節性の病変で,囊胞壁はD2-40染色で陽性であった.腫瘤内容液の所見と病理,組織学的所見から囊胞状リンパ管腫と診断した.囊胞状リンパ管腫は,通常は頸部·腋窩に生下時から2歳までに発症するが,成人発症はきわめて稀である.その成因は不明だが,組織学的に多彩な炎症細胞浸潤,線維化を伴う肉芽腫を認め,顕症化に炎症が関与していたことが示唆された.
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