漢方薬理学：漢方生薬に含有する植物由来生理学的機能物質（フィ卜ケミカル）の薬理作用序文

摘要

西洋薬は単種類の化学物質で成り立っているが，漢方薬は元から数種の生薬から構成されていることが根本か ら異なる.各生薬に含有する多種類の薬理学的化学物質（植物由来生理学的機能物質，フィトケミカル）から構 成された多成分複合薬である.天然由来素材から構成された複合薬なので，単一成分だけで構成されている西洋 薬とは全く薬理作用が異なる.複数の生薬，多種類のフイトケミカルを有し，非常に複雑な薬理学的相互作用を 表すことになる.つまり，漢方薬の最大の特徴は，西洋医学で投与された薬物の薬理作用が一方向性なのに対し て，漢方薬は多面性の薬理作用を有するので，生体がもともと保有している生理機能である恒常性（賦活?抑制 作用），健常化維持（自然治癒力，免疫力など）機能を賦活させ統合的な薬理効果を表すことである.