先天性血管拡張性大理石様皮斑,Klippel-Trenaunay症候群, Sturge-Weber症候群,神経線維腫症2型,Schwannomatosis, McCune-Albright症候群,母斑性基底細胞癌症候群, および神経線維腫症1型の結節状蔓状神経線維腫に対する対応補遺

摘要

川村太郎先生が埼玉医大に入院され快癒された或る日,車椅子を押して,花々の咲き乱れた大学構内を, ご案内させていただく機会があつた.(この日は非現実的なほど,晴れ渡つた日で,雲はくつきりとした幾何学的立体で,空に2つ(いわば)"配置"されており, いまから思うと,そのあとに起こる,私にとっては"事件"を暗示していたかのようである.)私は学生時代に川村先生と池田重雄先生の講義を聴き,たったそれだけで皮膚科への入局を決めた,という経緯があつたので,先生の前でただ緊張し,そばから離れないようにしていただけだったのだが,そのとき川村太郎先生が,一この,「母斑症」という"ことば"を実質的につくられ,皮膚科学という鬱蒼たる知の体系の森のなかの,紛れもない住人たる川村先生が,一振り返り,皮膚科学の痍垂れ小僧にすぎない私(··いまでもそうだが..)に,こうおつしゃったのである.