原子力発電を再考する－安全目標を考える

摘要

原子力発電を使用するに当たっての「安全目標」とはなにか、これは原子力発電所をつくり、運用する原子力関係者が守らなければならない基本である。原子力発電には、他の電源と比較して様々な利点がある一方、ウランやプルトニウムの原子核の核分裂に伴って発生する膨大なエネルギーを利用するため、同時に放射性の核分裂生成物が発生する。その他、多くの放射化物質が生じる。以下、これを総称して放射性物質と言う。原子力発電所の安全確保とは、この放射性物質を発電所の外に出さないことであり、出さないことで管理されてきた。しかし、東電福島第一原子力発電所の事故においては、この機能が維持できず、近隣住民をはじめ国民に多大な迷惑と損害等をもたらすこととなった。