建設業における腐食防食問題と腐食防食専門士としての雑感

摘要

建物における腐食防食問題への取り組みは①仕上げ材料（屋根·壁材·建具など），（卦構造材科（鉄骨·鉄筋など），⑨建築設備材料（設備配管·機器など）に大別される．（彰②については建設業創設当初から関わってきた問題であり，現業部門（技術部など）や技術研究所のスタッフがメーカーなどの協力を得て対応している．一方⑨については昭和30年代境から赤水·さびこぶによる配管の詰まり（流量減少）·漏水などの障害が顕在化するまでは業界としての取り組みはほとhど行われていなかった．そのような背景の中でようやく建築設備分野においても腐食問題への取り組みが重要視されるようになった．配管材料としてそれまで主要材料であった亜鉛めっき鋼管に替わり，銅管，ライニング鋼管，ステンレス鋼管などの新しい材料が使用されるようになって著しい赤水やさびこぶによる配管詰まりなどは減少したが，管継手の不備や施工の不完全さもあって依然として腐食問題はなくならなかった．また銅管やステンレス鋼管といった新しい材料については，水質，溶接技術，継手の構造，配管システムおよび使用条件などによって新しい腐食事象がみられるようになり，その対策に長く苦慮することになった．欧米における水道水の大半は硬水で日本の水道水質（河川水や地下水を浄化処理した軟水）とは材料に対する腐食特性が異なるため，防食技術への取り組みは困難を極めた．