局地的な風向別風速を考慮した鋼製煙突の疲労損傷評価

摘要

本論文では，島嶼部に数多い小規模火力発電用鋼製煙突の溶接継手部に生じた亀裂の原因究明に関連して，局地的強風に起因する疲労損傷度を検討した。 得られた結果は次の通りである。 （1）風向別の気流シミュレーションおよび近隣気象官署における観測値の粗度補正を行うことにより，鋼製煙突立地位置における16風向別の10分間平均風速の発生頻度を設定した。 構造物立地位置の風向別風速については，気象官署の風教こ比べて，特定の風向において1.6倍以上の高風速になることを明らかにした。 特に海岸近くに立地し，風が収束する地形における増速効果は大きいので，局地風の検討に基づく疲労損傷評価の手順とその必要性を示した。