片面すみ肉溶接継手の疲労強度に対する溶接溶け込み深さの影響

摘要

鋼床版のトラフリブ·デッキプレート溶接接合部のデッキプレートに板曲げあるいは軸引張力が作用する場合を対象として、片面溶接継手の疲労強度に対する溶け込み深さと溶接脚長の影響について、モデル試験体の疲労試験と疲労亀裂進展解析を行うことにより検討した。 ここで得られた主な結果は以下の通りである。 （1）片面すみ肉溶接継手の疲労破壊の起点としては、溶接止端部と溶接ルート部が考えられるが、ここで観察された疲労亀裂は、溶接の溶け込み深さによらず、また戟荷形式によらず、すべて溶接ルート部であった。 これは、溶接止端部に比べて溶接ル云ぎト部で応力集中係数が高くなるためである。 （2）片面すみ肉溶接継手の疲労強度は、溶け込みを深くしても改善されず、溶け込みが深くなるにつれて若干低下する傾向がみられる。 （3）溶接脚長を増すと、片面すみ肉溶接継手がルート破壊する場合の疲労強度は若干ではあるが改善される。 ここでは、デッキプレートに軸力あるいは板曲げが作用する場合を対象として検討した。 しかし、トラフリブ·デッキプレート溶接接合部には、リブ板に軸力あるいは板曲げも作用する複雑な応力場となる。今後、トラフリブ。デッキプレート溶接接合部の応力性状を明らかにした上で、溶け込み深さや脚長が疲労強度に及ぼす影響について、さらに検討する予定である。