太陽エネルギー利用とエネルギー貯蔵－太陽熱利用と太陽光発電を中心に

摘要

今，世界は化石資源の大量消費時代から持続可能な社会の構築に向けて大きく舵を切り始めた．持続可能な社会を維持することが出来る唯一のエネルギーが「太陽」である．だが，産業革命以降に続いた化石資源消費社会は，快適さ，便利さ，簡便さなどさまざまな形で私たちの生活環境を大きく変えてしまった．持続可能な社会では，化石資源の大量消費によって習慣化した生活環境を太陽エネルギーに適応型に変えなければならない．だが，残念ながら我が国の太陽エネルギー利用は，まだこのような兆しすら見えない．このような視点で太陽エネルギーの利用を考えたとき，熱であれ，電気あるいは物理·化学的な手法であってもエネルギー貯蔵技術が，持続可能な社会へ第一歩を踏み出すために必要不可欠な要素技術のように思えてくる．本稿は，2007年11月16日に開催した日本太陽エネルギー学会主催の「第12回研究講演会」での講演内容をまとめたものである．太陽熱利用と太陽光発電の普及という視点で，我が国と欧米を比較しながら，太陽エネルギー利用材料とエネルギー貯蔵分野を考えてみた．